ちょっと面白い本が入ったので紹介します。
夏目漱石の「夢十夜」、内田百閒の「冥途」、萩原朔太郎の「猫町」。それぞれ金井田英津子という版画家の装幀で、挿絵的にこの方の版画が紙面を飾っています。挿絵というよりかはもう絵本に近い感じです。
この金井田英津子という版画家は、本の装幀と版画を得意とする方のようで、奥付の肩書きは装幀ではなく画・造本となっていました。
版画といってもいろいろあるようですが、この方の作品は黒い部分が多いのが特徴のようで、光が背後から当たった夕暮れ時のような、月夜に浮かび上がった光景のような、そんな印象をどの絵からも感じました。
よく近代日本は闇を失った、といったような話を耳にしますが、その失われた闇が版画の黒い部分から伝わってくるような気がします。
これから夜の長い季節になりますが、そんな夜の闇をこんな本を読んで楽しんでみるなんて、ちょっと気取り過ぎですかね。
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