粒や木(ツイッター)

ex-藤子文庫(モトフジ)の呟きです

藤子文庫の芸術の秋

 

 

地球の回る音を聞きなさい。

 

これは、ジョン・レノンの奥さんであり現代芸術家、オノ・ヨーコの「グレープフルーツジュース」という本の一節です。

「グレープフルーツジュース」にはこのようなほぼ実現不可能な命令が何の注釈もなく羅列されています。それを詩として読む事もできますが、その言葉は印象のようなものではなく、具体的な命令であるところがなにか独特です。

この本で私は現代芸術と出会いました。自分のとらえ方が正しいのかどうか知りませんが、現代芸術を一言でいうと、ジャンルや様式にとらわれないイマジネーションの遊びってことなのかなと思っています。

 

その娘の体には見事な刺青が彫られていた。男たちはそれを眺めながら酒を飲んでいるのだった。そしてさらに私を絶望させる事件が目の前で展開したのだった。(中略)私は美しい音楽は美しい心からしたたり落ちる音だと信じていた。だが、実際には、あのような汚れた手からでも、感動的な音楽は流れるのだ。その残酷さが私を絶望させたのだった。

五木寛之「青年は荒野をめざす」より

これは小説の主人公が、ナチスホロコーストの生き残りから聞いた話として語られている一節で、補足すると刺青の彫られた娘の皮膚は剥がされて加工され飾られているのです。

これが作者が本当にどこかで聞いた話なのか、創作なのかはわかりませんが、この本を読んだ時に強烈に印象に残ってメモっておきました。

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これは大英博物館に展示されている人類初期の工芸品です。

NHKの「日曜美術館」で紹介されていたのですが、これは単なる彫刻ではなく、マンモスを狩るための矢を投げる道具にほどこされた、マンモスの彫刻なのだそうです。凄いなと思うのは、そのディフォルメがほとんど古さを感じさせないところです。むしろ現代的かもしれないとさえ思います。

 

このマンモスの彫刻をTVでみたとき、芸術というものは、人間が人間として思考をはじめたと同時始まったのではないかと思いました。

時に優しく、時に残虐で、意味不明でばかばかしくもあり、同時に限りなく愛おしいモノ。芸術って人間そのもので、そもそも同じもの、同じコトなのかもしれません。

 

そんなことを妄想する秋の夜長、読書をお勧めするのはもちろんなのですが、文字を追うのに疲れた眼にやさしい、ビジュアル中心の本を集めてみました。

 「藤子文庫の芸術の秋」(一部文字だけの本も含まれています。)開催中です! 

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